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瓦に想いを馳せる

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家の畑でサンチュウの苗を植えていたら
改築の時に使った瓦がふと目に入った。

 建築家と築100年強の家をくまなく
チェックしながら、改装プランを練っている時、
建築家が一番頭を悩ませたのは、瓦。

 100年以上前の土瓦を使っているので、
修理箇所が大分あるのだけれど、今その瓦を焼いている人は
日本全国殆どいないし、作ってもらったとしても
莫大なコストが掛かる。現存の瓦を使うにしても、
サイズも形も全く違うので
どうやって修復しようかと、工務店方と大きな課題になっていた。

 主人は今のセラミック瓦には出ない
渋い土瓦の趣をとても気に入っていたので、
雰囲気は絶対に残したいと強く希望。

 その思いが通じたのか、床の工事が始まると
軒下から大量のストックが見つかった。

 瓦の修理にも充分に足り、残りは庭のアクセントに。
今日ふと畑仕事の合間に残っている数枚の瓦を手に取ったら
「新治郡平利出村藤澤新田 嶋村保太郎」と刻印が。

 どうしてもこの瓦のルーツが知りたくなって
ネットサーフィン。ようやく1950年初頭まで平利出村(斗利出村・とりでむら→現・土浦市)
と呼ばれていた村がある事が分かる。
根気良く調べていると
嶋村瓦店を発見!!

 5代目になる現在の嶋村さんと電話で
お話しすることが出来、やはり100年以上前の
2代目保太郎さんの作品だと言う事が分かる。

 しかし、30年以上前に需要もなくなり、
昔の手法の土瓦は焼かなくなり、竈も処分してしまったとの
事。本当に残念・・・。でも、資料や写真は残っているらしいので、
今度お邪魔する約束をして電話を切る。
現在のご主人も、こちらも是非お邪魔したい!と突然の電話を喜んでくれる。

 旧新治郡の藤澤新田と言う地域は、現在31戸の集落で
今でも3軒の瓦屋さんが残っているとの事。
地域の粘土質の土壌が瓦に適している事から
瓦職人が集まり始めたらしい。
近くを流れる桜川から船送・陸送を経て
霞ヶ浦一帯の集落に嶋村家の瓦が出回ったことから、
ご主人も時折、遠方の仕事先で「うちの瓦だ!」と驚かされる事があるそう。

 私達はこの家で生まれ育ったわけでも
この地域で育ったわけでもないけれど、何かの縁で
この家に住まわせてもらっている。なるべく地域や家の歴史を
大切にしながら暮らして行きたいなと、改めて思う。

 近所のおうちの蔵の改装が始まっている。散歩の度に足を止めてしまう。
土壁が壊されて、梁が見え、奥にはうちのおばあさんが
持っていたのと同じ桐の箪笥も見えた。
その偶然お揃いの箪笥は、我が家では職人さんに全体を研磨して
貰った後、寝室に。

瓦に想いを馳せる_e0084001_1757502.jpg

 
 どうなるのかこの蔵の行方が非常に気になる。
かなり古い土瓦も横に積んであった。
お願い、捨てないで。(←願わくば私にチョウダイ)

 そして蔵よ、息を吹き返して。

 私だったら絶対、ドイツの上面発酵の生を出す蔵BARにする。


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by aoyadom | 2007-03-24 15:00 | 我が家

ヨーロッパ&日本~時々石垣島^^を中心とした日独通訳者ライフ


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